ひろこの睡眠学習帖

寝言のようなことばかり言っています。

沼にはまった、そう、あれは中学生一年生のとき。

今週のお題「私の沼」

 

私が沼にはまった、と確実に言えるのは20年近く前のことだ。

 

中学一年生のとき。

クラスの男子が持っていた下敷きにえがかれているマンガのキャラクターに一目惚れしてしまった。

そのキャラクターは、幽☆遊☆白書の飛影。

幽☆遊☆白書のことを知らない人がいるかもしれないので簡単に説明すると、週刊少年ジャンプに連載されていた単行本だと全19巻からなるストーリー。冨樫義博さん作。(最近の作品はHUNTER×HUNTER。休載中)

みんな知ってる体で書くけれど、主人公の浦飯幽助なんかよりも妖怪の飛影のクールな見た目に、「うわー! かっこいい!」と本当に好きになってしまった。

その男子が持っていたのは、週刊少年ジャンプの付録のような下敷きで、頼みこんで五百円で売ってもらった。

 

その下敷きを見るまで、幽☆遊☆白書のことは全然知らなかったので、そこから一気にハマっていった。すでに単行本として出ているものは購入。週刊少年ジャンプは、近所のコンビニで立ち読みして、飛影がたくさん出ている時は購入。アニメも放映されていたので、アニメは録画。さらには一時停止して「写ルンです」で撮影。当時はデジタルカメラはなくて、現像に出してみては一喜一憂していた。

さらには、アニメイトなる、アニメグッズのお店に行っては飛影のグッズを購入。2次元の相手に、なぜそこまでハマるのか、本人も理解出来ないけれど、好きだった。あれは完全に恋をしていた。

 

かなり頭がイかれていたと思うエピソードがある。ストーリーの中で、飛影の片腕が使えなくなるのだ。本当に心苦しくて、アニメでその回を放映された時には泣いてしまった。しかも「飛影が右腕を使えないなんて、かわいそうすぎる。私の右腕を捧げたい」と思った。そして右利きなのに、私も右手を封印して、左利きになると宣言したのだ。

あまりにもバカげていて、家族全員ア然としていた。今の私もア然とする。若気の至りって怖い。っていうか、若気の至りですらない。ただただ怖い。

だけど、そこそこ左利きをマスターしたところで飛影は「邪王炎殺黒龍波」を体得し右手も治った。そして、私のイかれた左利き生活も終わりを告げた。

 

しかし、徐々に「飛影に恋をしても何も報われない」ということに気付き始めた。何をしたって、飛影は目の前には現れない。

少しずつ、単なる幽☆遊☆白書の読者になっていき、飛影への焦がれる想いは薄れていった。中学2年生の夏には、もう「終わりを迎えた恋」のように、しんみりとした気持ちになっていた。そうして私は幽☆遊☆白書沼(主に飛影)から抜け出すことができたのだった。

 

今となれば、なぜあれほどに飛影に無茶になっていたのか、わからない。

けれど、私の心の中には今でも「片思いの相手」として登録されていることは確かなのだった。